華〜ハナ〜Ⅰ【完結】




「この間…調査員が来ました。

もう二年生なのに楓は小学校に行ってなかったから。
それで、虐待がバレて……
あたしたちが警察署に行ってる間に…楓がいなくなってました…。」





深呼吸をして、気持ちを落ち着けた花織はそう言った。




エリカは、それであたしと楓が会ったのかと、やっと理解した。





「お母さんは、楓がいないことを喜びました。あの顔を見ないで済む、良かった、って。
でも、そのうちあたしを見る目も変わってきました。
あんたもやっぱりあの男に似てる、って言われて、殴られたり。
だけど、たまに謝ってくれるんです。」





花織は苦しそうに笑った。




「でも、花織ちゃん…」

「お母さんには、あたししかいないんです。
あたしにも、お母さんしかいない。
楓はあたしたち二人が怖いから…」




そう言った花織は今だに顔をあげない楓を見た。





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