華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
楓は今だに震えている。
ピリリリ…
携帯の電子音が、三人の微妙な空気を切り裂いた。
「あっ…すみません。」
そう言った花織が、電話をとった。
「はい…。
うん。今から帰るから……。」
それだけ言って、花織は電話を切った。
「あたし、帰ります。
楓のこと、よろしくお願いします。」
花織は立ち上がり、頭を下げた。
「花織ちゃん…」
エリカは、何を言ったらいいのか分からなかった。
「失礼します。」
迷っているうちに、花織はファミレスを出て行ってしまった。
「楓……?」
何も言わなかった楓を心配に思いながらも、二人もファミレスを出て家に帰った。