華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「あたしは…楓がいてくれてよかった…
楓がいなかったら…
もう生きる意味がわからなかったの…」
その声は、楓がいつも聞いていた凛としたエリカの声ではなかった。
ただただ悲痛そうに、振り絞るようなか弱い声。
「いなきゃよかったなんて…言わないでよ…
楓がここにいなかったら…
寂しいよ…」
その時のエリカは、今にも消えてしまいそうに儚かった。
「エリカ…泣かないで…?」
楓は、初めてみるエリカの弱々しい姿に戸惑った。
そして、どうしてこうなったのかも分からなかった。
でも、目の前で静かに涙を流すエリカをこれ以上悲しませたくない、と思った。