華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
先生が教室の中に入ると、うるさかった教室が静かになった。
楓はあまりの緊張にクラクラしながらも、必死で堪えた。
「皆さん、今日は転入生の子がいます。
新しいお友達ですからね。
仲良くしてください。
では、入って下さい。」
そう言われたため、楓は深く深呼吸をしてゆっくりと教室に入った。
「じゃあ、自己紹介をしてくださいね。」
「はい……。
鈴堂楓です。…よろしくお願いします。」
何を言えば良いのかもわからなかったため、楓はそれだけ言って俯いた。
「鈴堂くんは、体が弱かったため前の学校にもあまり行けていなかったそうです。
いろいろと分からないこともあるでしょうから、皆さんが鈴堂くんを支えてあげてくださいね。」
……この話は楓も知らなかった。
でも、きっとエリカが考えたのだろうと思いなにも言わなかった。