華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「エリカ……?」
「あっ…ごめんなさい。また今度…。」
そう言って、エリカが電話を切るのを見た。
「おかえり、楓。」
取り繕ったような笑顔を見せるエリカ。
楓はそんなエリカに不信感を抱きながらも「ただいま。」と答えた。
「今日も仕事早いから…
もう行くね。」
「うん……。」
バタン…とドアが閉まる。
楓は、いろいろと考えを巡らせた。
最近、エリカは仕事に行くのが早くなった。
それに、休みなんてほとんどない。
帰ってくるのも朝方。
「はぁ……」
楓はため息をつく。