華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「蓮ってホントにバスケしたことないの?」
楓はいつもより明るく言う。
そんな楓に気付いて蓮は心配そうな瞳を隠しながら「ああ」と答えた。
二人は、ゆっくりとエリカの住むマンションに向かっているのだ。
「信じられないな〜。」
道路に転がっている石ころを蹴りながら楓は下だけを見つめていた。
「楓、」
俯いたままの楓に蓮が声をかける。
楓は顔を上げて蓮を見た。
「耐えられなくなったら俺のとこに来い。
思ってることは全部伝えてこい。
じゃないと後悔する。」
蓮の目はまっすぐで。
でもどこか悲しそうにも見えた。