華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「はい、コレ。荷物だから。」
楓はエリカが何を言っても反応できず。
放心状態で荷物を掴まされ、マンションを追い出された。
あまりに突然のことで頭がついていかない。
ただ感じるのは両手両肩に感じる荷物の重みだけ。
「……楓。」
自分を呼ぶ蓮の声すら耳に入らない。
エリカは…自分が必要じゃない?
ずっと一緒だって、言ったのに…
楓がいないとダメなんだ、って
笑ってくれたのに…
信じてたのに…っ
………また、女の人に捨てられた。
ああ…女って、そんな人なんだろうな。
涙すら零さない楓が思ったのは、これだけ。