華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「誰、それ?」
楓はいたって普通に尋ねる。
李玖は若干顔を引き攣らせる。
「アイツ、新倉嘉。
超金持ちのお坊ちゃま。
一般の学校になんか普通来ねぇよ。」
「へぇ…」
お坊ちゃま、か。
なんで李玖がそんなこと知ってるんだろ?
ま、いいか。
「で、なんでそれが蓮が何者かに繋がるわけ?」
「だから〜、お坊ちゃまは一般人とは関わりがないはずなんだよ。
それなのに蓮と話してるだろ?
てことは蓮もそっち系じゃねぇかなって思ったわけ。」
なるほど。
確かに、蓮は立ち振る舞いとか、なんとなく俺たちとは違う気がする。
楓はそう思った。
でも、
「蓮が何者なのかは知らない。
何も言わないし、俺も何も聞かないんだ。」
そう言うと「ふぅん」と李玖はつまらなそうに呟いた。