華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
ドタドタとリビングへ行き、最近持つようになった自分のケータイをとる。
今日は運悪く家に忘れていたのだ。
ふと目に入った時間は、ちょうど7時。
楓はもう何年も押していない番号を押す。
忘れてしまったかと思ったが、どうやら体が覚えているらしくスラスラと押せた。
プルルルルル…
電子音が鳴る間、楓はバクバクと落ち着かない心臓を必死で押さえていた。
電話には、出てほしい様な出てほしくない様な。
プルルルルル
そんな楓の心を読んだかのように鳴り続く。
果てしない時間に感じられる。