華〜ハナ〜Ⅰ【完結】



プルル…ピッ




〔……はい〕




あ………出た。



それは、何年かぶりに聞くエリカの声。


昔と変わらず優しい楓を落ち着かせる声。




楓は胸が熱くなる思いがした。



〔あの………〕




困った様なエリカの声。

それは心なしか震えているような気がして。




「エリカ………」




言いたいことはあるはずなのに、何も言葉が出てこなかった。



〔楓……?楓なの……?〕


「うん………」


〔ど…して………?〕




エリカは困惑しているようだった。


楓も、少し胸がざわついた。



…やっぱり、迷惑かな。





< 358 / 417 >

この作品をシェア

pagetop