華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
プルル…ピッ
〔……はい〕
あ………出た。
それは、何年かぶりに聞くエリカの声。
昔と変わらず優しい楓を落ち着かせる声。
楓は胸が熱くなる思いがした。
〔あの………〕
困った様なエリカの声。
それは心なしか震えているような気がして。
「エリカ………」
言いたいことはあるはずなのに、何も言葉が出てこなかった。
〔楓……?楓なの……?〕
「うん………」
〔ど…して………?〕
エリカは困惑しているようだった。
楓も、少し胸がざわついた。
…やっぱり、迷惑かな。