華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
どうして、何も言わないままに電話を切らせてしまったのだろう。
死んだら、なんて聞きたくなかった。
マンションだって、ずっとゴウさんと一緒に住めば良い。
貯金なんて、いらないのに。
エリカが生きてる、って分かれば良いんだ。
楓はわけが分からず、ストンと床に座り込んだ。
その頬にはとめどない涙。
エリカが死ぬとは考えなかったのに、なぜだか涙が止まらなかった。
何時間経ったのか。
バァンッ
激しい音に、楓の意識はそちらを向いた。
「楓っ!?」
蓮が、顔色を変えて家に上がって来る。
「楓!いんのか!?」
リビングに入って来ると、蓮と楓の目が合った。