華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
蓮は一瞬目を見開く。
「楓…お前…何やってんだよ…」
心配をかけてしまったのだろうか。
蓮はハァハァと息を乱し、額には汗が浮かんでいる。
「楓…聞いてるか?」
少しイライラを含んだ声色。
でも心配するような雰囲気も含まれていて。
「…なんで泣いてんだよ」
蓮はタオルをとって、楓に渡す。
それで目を押さえると、涙が止まったような気がした。
「エリカに電話して…話した。」
ポツリと言う。
蓮は大まかなことは知ってるから。
きっと何か分かるだろう。
「…そうか。分かったから。
楓は、もう寝てろ。」
そう言われて、ベッドに入った。
タオルは、もう水を吸って重たいと感じるくらいだった。