華〜ハナ〜Ⅰ【完結】




数日後。




一通の手紙が家に届いた。




「楓宛て。はい。」


ポンッと手に乗せられ、楓は心臓をバクバク言わせながらゆっくりとその手紙を読んだ。




――――――

楓へ。


この手紙が楓に届いてるってことは、あたしは多分もう楓に会えなくなっているんだろうね。

あたしが死んだとき、あたしの遺産は全部楓にいくようになってます。

貯金、マンション、一応車も。

あたしが家族だと思える人は楓だけだから。

全部、楓に貰ってほしい。

だから、この手紙を読んだら一回あたしのマンションに来てね。

あそこには楓に住んでもらいたいの。


今更こんなこと言ってごめんね。

あたしが楓を傷つけたのに。

ずっと一緒にいたいって、本気で思ってたんだよ。

言い訳かな?

楓が家からいなくなってからあたし、毎日泣いてた。

楓のいない穴をゴウさんが埋められる訳はなくてね。

ゴウさんは大切だけど、あたしにとって一番大切にすべきだったのは楓だったって、今更後悔してる。

ほんと、今更…。



こんなあたしのことは早く忘れて幸せになってね。

…ううん。

ほんとは忘れられたくない。

あたしを忘れないで。

でも、楓はちゃんと幸せになって。



言いたいことはこれだけ。

楓、いつまでも楓のことが大好きだよ。




エリカ


―――――――


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