華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「雰囲気がね…少し。
いくら傷ついても、エリカが大切なのは変わらなかった。だから…侑希は始めから普通の女たちとはちがったんだ。」
……………。
楓は、鋭いのね。
私は、あることを思い出していた。
あれは…あの人は…そうか。
私は一人で納得した。
私がその人に似ている理由。
それも、雰囲気が。
それと同時に、私が楓に弱い理由も。
…楓には、どうしたって分からないだろうけど。
寝ずに朝まで話をしていた私たちは、二つのベッドに入り、それぞれ眠る。
すぐに、楓からスースーと規則正しい寝息が聞こえだす。
私はふわっと流れてきた風を撫でるように手を動かした。
―記憶の断片を手繰り寄せる。
そしてそれを紡ぎ合わせる。
楓は、ただの被害者。
何一つ真実をしることなく、ただ変えられた運命を受け入れただけの、私が生んだ可哀相な被害者。
「ごめんなさい……………」