華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
季節は今、シトシトと雨が降り続く季節。
「今日も雨だね〜」
くわあ…と大きなあくびをする楓。
あたしの目の前では李玖が規則正しい呼吸を繰り返している。
ここは、教室。
「ね〜ね〜侑希〜眠たい〜」
李玖と違って楓は起きている。
「………であるからここは…………」
一応、授業中。
私は、いつも屋上に行くのは嫌だったため、たいてい授業を受ける。
でも一人ではいられないため、こうして楓がいたり李玖がいたりする。
「…楓も授業を聞いていたら?」
「え〜だって眠くなるんだもん。」
頭のハゲた、数学教師が恐る恐るという感じて楓のほうを見る。
私の隣の席に座って体をこっちに向けている楓はそれには気づかない。