華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
シーン−−−………
私が教室に入ると、さっきの騒がしさが嘘のように静かになった。
「じゃあ栗栖さん。自己紹介をお願いします。」
「栗栖侑希‐クリスユキ‐です。」
−−−シーン−−
「あら?みなさん、どうしたの?さっきまでは話をしていたのに。そうだ、栗栖さんに何か質問とかないの?」
質問………
私は出来る限り人とは関わりたくないのに。
質問なんて、そんなもの必要ないのに…。
どうせ嘘で塗り固められた今の“私”に答えられることなんて、ない。
だけどそんなことが言えるわけもなく、私はただ無表情で教卓の横に立っていた。
「……っはい!彼氏とかいるんですかっ?」
「……いない。」
たくさんの刺さるような視線を受けて、しかたなく私は答えた。
「「「「ぅおおお!!!」」」」
いないと言った瞬間、教卓は耳を塞ぎたくなるくらいの盛り上がりを見せた。