華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
侑希 蓮士
結局私は手を離してもらえず…
車にも嘉じゃなくて蓮士と乗った。
城に帰ってからも一言も喋らずただ蓮士の隣に座ってて…
私、蓮士を怒らせたのかしら?
どこで怒ってしまったのか…と、一人悶々と考えを巡らせた。
でも結局分からず。
私はいつもよりも家に帰るのが遅くなってしまった。
いつもは一人で帰らせてくれるのに、今日は蓮士が「送る」と言って聞かなくて。
私は仕方なく了承した。
――…怒ってるわけじゃないのかしら?
喋らないだけで、いつも通りの蓮士にそんなことを思ったりもした。
「……ありがと、蓮士。」
ヘルメットを外しながら私は言う。
「…ああ。」
いつもは嫌というほど真っすぐ見てくるくせに、今日は目を合わせようとはしない。
はぁ………
まあいいか。
今日はそっとしておこう。