華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「……なあ。」
「ん?何?」
私がマンションの方に向き直ると、声をかけられた。
「…親、怒んねぇのか?」
親……?
「大丈夫よ。私、親いないから。」
私が殺したんだっけ?
覚えてない。
でも、今まで親のことなんて聞いてこなかったのに…
急にどうしたんだろう。
「あ…悪ぃ…」
「ううん。なんとも思わないわ。」
私はゆったりと微笑んだ。
「………なあ。」
「なぁに?」
「…………。」
蓮士は何も言わない。
何だろう……
「家、行ってもいいか?」
「…………は?」
私は、突然のことに驚く。
びっくりした……
家?
上がっていいかなんて…
今まで一度も言われたことなかったのに。