華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
チラッと蓮士を見てみれば、真っすぐな、あの目で私を見ていた。
「私のことを知るのは諦めたほうがいい。何も話す気はないからね…。」
それだけは、言っておく。
それに知ったら知ったで私は蓮士たちを始末しないといけないかもしれない。
「だけど少しくらいなら質問には答えてあげる。それでいいでしょう?」
私は蓮士の返事も聞かずに淡々と話す。
「強さ…だったわね。
私が考える強さは…―――」
…なんだろう。
強さ……
許すことも、そうだとは思う。
でも絶対的なものじゃない。
強さ、と言われて思い浮かぶのはマスターや…乃亞-ノア-かしら…
二人の強さは……
「――…受け入れること、かしら。」
「受け入れる…?」
「そうよ。どんな悲しみをも受け入れて、それが運命だったんだ、必然だったんだと受け入れること。
少なくとも、それが出来る人を強い人だと感じることは確かよ。」
そう……
受け入れる強さを持っているのは、乃亞。
私は…乃亞みたいにはなれない。