華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
乃亞の強さがそれなら……
マスターはなんだろう。
私からすれば、マスターの強さが絶対的なものだと言える。
いや、私だけに限らず裏の世界を知る人は全員そう思うだろう。
だったら…その強さは…?
恐怖………
それもあるかもしれない。
憧憬……
私からすればそれも強さだ。
「侑希?どうかしたのか?」
急に黙り込んだ私を不思議に思ったらしく、蓮士から声をかけられる。
「なんでもないわ……。ただ、分からないのよ。あれは、強さなのか…」
「分からない…?」
「恐怖であって…憧れであって…力でもあって…受け入れる器も持っている…
そんなのを、一言に出来る?」
私が言うと蓮士は少し考えて首を振った。
「そんな人が、侑希の知り合いにいるのか?」
「ええ………」
知り合いと言うより、生きる意味とでも言えるだろう。
まあ、蓮士には分からないかな。