華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
私は、ソファから立ち上がる。
そして窓を開けて風を部屋に入れた。
はぁ………――
ふわり、と風が入ってきて私の波だった心を鎮めてくれる。
「侑希………」
「………ん?」
近くに蓮士の気配を感じてゆっくりと振り向く。
その瞬間、ふわっと何かにつつまれた感じがした。
「え…………」
私の視界は黒に包まれる。
それは…
……蓮士の服?
トクントクンと、普通よりも少しだけ早い心音が聞こえて。
ああ、私は蓮士に抱きしめられているんだとやっと認識した。