華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
私が席に座ると、前の席に座っていた男が振り向いて声をかけてきた。
「なあ!よかったら話さねぇ?俺、内海李玖‐ウツミリク‐っていうんだ!リクでいいし。侑希って呼んでいい?」
………はあ。
うっとおしい。
「なあってー。いい?」
「……ええ、構わないわ。」
「おお!侑希、よろしくな。」
私がここへ来て初めて話した李玖というヒトは、目にゆるぎない光をもった眩しい人間だった。
「侑希って引っ越してきたのか?」
「……ええ。」
私はその目を見ずに答えた。
眩しいものは苦手だ。
「どこから?」
「…ここからずっと遠く。」
まあ、これは嘘にはならないだろう。
私は今までこんな明るい世界とはまったく正反対の世界で生きていたのだから。
「だから俺のことも知らないんだな〜。」
……は?
初対面の人間を、知ってる訳がない。
――李玖が誰かに怨まれるような犯罪者なら、話は別だけれど。
「どういうこと?」
「ん〜。まあ、そのうちわかるんじゃねぇかな。」
どういうことだろう。
まあ、相手が誰であれ、他人なんかに関わるつもりは毛頭ないけれど。