華〜ハナ〜Ⅰ【完結】



ピリリリ………


ん…?

電話…?

私……じゃないよね。

そういえばケータイ持ってきてない。



「あ?…ああ。分かった行く。」

ピッ



どうやら、鳴ったのは楓のケータイだったみたいだ。



「あ、わりい侑希。起こしちまったか?」

「ううん。大丈夫。」



寝ていたような、寝ていなかったような…

よく分からないところをふわふわしていた気分だ。



「侑希、俺飯食いに行くな。」



もうそんな時間なのか。

じゃあまた寝ようかな……。



「分かった。ありがとね。日陰作ってくれて。」



私がお礼を言うと楓は照れたように笑った。


「そういや、侑希は昼飯どうすんだ?」


おひる………か。


そういえば、最近ご飯食べたのいつだっけ?

まあお腹も空かないし、いいっか。



「食べないわ。寝るから。」



私がさらりと答えると、


「は?食わねぇ?」



目を見開いて聞き返してきた楓に、私はコクンと頷いて答えた。




< 64 / 417 >

この作品をシェア

pagetop