華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
ピリリリ………
ん…?
電話…?
私……じゃないよね。
そういえばケータイ持ってきてない。
「あ?…ああ。分かった行く。」
ピッ
どうやら、鳴ったのは楓のケータイだったみたいだ。
「あ、わりい侑希。起こしちまったか?」
「ううん。大丈夫。」
寝ていたような、寝ていなかったような…
よく分からないところをふわふわしていた気分だ。
「侑希、俺飯食いに行くな。」
もうそんな時間なのか。
じゃあまた寝ようかな……。
「分かった。ありがとね。日陰作ってくれて。」
私がお礼を言うと楓は照れたように笑った。
「そういや、侑希は昼飯どうすんだ?」
おひる………か。
そういえば、最近ご飯食べたのいつだっけ?
まあお腹も空かないし、いいっか。
「食べないわ。寝るから。」
私がさらりと答えると、
「は?食わねぇ?」
目を見開いて聞き返してきた楓に、私はコクンと頷いて答えた。