華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
楓は私のほうを振り返り、手を離した。
「悪ぃ…」
下を向いて、そう呟いた。
「謝らないで。なんとも思ってないわ。」
ああ、私はきっと楓を傷付けたくないんだ。
だって、こんなにも楓を気を遣っている。
他人のことなんてどうでもいいと思っていたのに。
まあしかたがないこと。
私にも人の心が残っていたのかしら。
それとも…
取り戻したのかしら。
そんなことを考える自分を笑った。
メニュー