華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
そういえば。
私の周りの机には人が座っていない。
隣も、後も、その隣もだ。
特別気になる訳ではないけど、マスターが教えてくれた学校のイメージでは、クラスの全員が教師の話を聞くものだと言っていた。
でも、このクラスは教師が話している間も自由に話をしている。
教室にいない人間すらいるのだ。
こんな学校もあるのか。
私はそう解釈することにした。
「なあ、侑希?」
「何。」
私がフッと顔を上げた瞬間。
パシャッ
眩しいライトが光った。
「……何。」
私が再び尋ねれば。
「あれ?怒らねぇの?てっきりキレられるかと。」
李玖は笑みを浮かべながら言った。
そう思うならやらなければいいのに。
「………。」
「ゆーきっ??ホントは怒ってる?」
「そんなことで怒ったりしないわ。」
「そんなことって……勝手に写メ取られたのに怒らねぇの?」
「別に……」
写真くらいいつでも消せる。
そう思うから何も言わないだけ。