華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「侑希ちゃん。来たんだね。」
嘉が私を伺うように言った。
嘉には少し悪いと思った。
あんなに拒否しておきながら、他の人にはのこのこ着いてきたんだから。
「侑希ちゃん、何食べる?」
私の考えとは裏腹に嘉は普通な態度だった。
嘉らしいと言えば嘉らしい。
その笑顔は、また張り付けた物だったけど。
それを作ったのは私なんだけど。
私は、楓が手招きしているのに気がついた。
そこは、ちょうど日陰。
楓は私のことを考えてしているんだろう。
私は、嘉に「なんでも。」と答え、楓の所に行った。
楓が座っているのは、真っ黒な三人掛けのソファ。
なんで屋上にソファがあるんだろう。
しかも、かなりの高級品。
それが4つもある。
それは、一つのガラステーブルを囲うように置かれていて、一つは私達が座る真っ黒のもの。
嘉が座っているのはダークブラウンの同じ形のもの。
李玖が座っているのはクリーム色の二人掛けのもの。
あと一つは黒に近い灰色の一人掛けのもの。
これは…たぶん総長であるあの銀色の男の物。