華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
そんなことを思いながら私が隣からじっと見ていたからだろうか。
急に楓がこちらを向いて言った。
「なんだよ。どうかしたか?」
「いいえ。ただ、見てたの。」
可愛い、なんて言ったら楓は多分怒ってしまうだろう。
「なんでだよ」
楓は少し頬を赤く染めて、そう言ってきた。
赤くなるなんて…
暑くなったのかしら。
「なんとなく、よ。楓は外見と中身が全然違うのよね。」
私がそう答えると、楓は眉間にシワを寄せて不機嫌そうに
「見た目通りがよかったかよ。」
と言った。
私はふっと笑って口を開いた。