華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
私の言葉を黙って聞いていた楓は、満足そうに笑った。
「ありがとな。それだけで十分だ。」
楓は、可愛らしくて本当に素直。
これからも変わらないでいてほしい。
そう、心の中で願った。
ピリリリリ……
不意に、ケータイの電子音が鳴った。
誰かしら。
あ、そういえば私ケータイ持ってきてない。
まあ、電話かけてくる人なんていないからいっか。
「はい。ああ…うん。分かった。」
ケータイは嘉のものだったようで、相手と話している。