華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「あ、早く来なよ?」
嘉は最後に、相手を急かすように言った。
そんな、急ぐことがあるの?
「二人とももうすぐ来るって。怪我も少なくて済んだみたいだし。」
怪我?
誰かが怪我をしたのか…。
「そっか〜、よかったな!でもあいつが怪我するくらいだからな〜。相当な人数いたんだろ?」
「李玖にしてはよく気がついたね。そうらしいんだ。だからあの二人が行った。」
うーん。
あの、とかあいつ、とかで話をされると全然流れが掴めない。
いったい何の話をしてるんだろう。
「おい。何があったんだよ。」
話が分からなかったのは私だけではなく、楓もだったみたいだ。
「ああ、楓は知らないんだね。あのね……」
ギィィィ――
嘉が説明しようとした瞬間、屋上の重たい扉が開く音がした。