華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
嘉は、一つの教室の前で立ち止まった。
ガラガラガラ…
「はい。入ってね。」
嘉は笑顔だけど有無を言わせない迫力を出しながら言った。
私が素直にその教室に入ると、嘉も入ってドアを閉めた。
閉めたりしなくても逃げないんだけど。
そう思ったけど、何も言わなかった。
「ここは?」
私は嘉にここは何の教室なのかを尋ねた。
見たところ、普通の教室。
なのに使っている様子はない。
「ああここはね、俺のサボり場所の一つ。
みんな知ってるから誰も近づかないんだ。」
ふーん。
私は自分で聞いたのに何も言わなかった。
「で、話って何?」
唐突に、私が言った。
嘉が自分から言い出しそうじゃなかったから。
すると嘉はまた偽物の笑顔を張り付けて口を開いた。