華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
月華
「昨日、侑希ちゃんのことを調べたことは言ったよね?」
私は、コクリと頷く。
「だけどね、全く何も出てこなかった。」
そりゃあそうだろう。
栗栖侑希、なんていう人間は存在しない。
「だから朝は、何物?って聞いたんだ。」
そして私の目を見た。
「ねぇ。戸籍もなかった。これ、どういうこと?」
どういうことって…
嘉は絶対、思うことがあるはず。
「嘉はどう思うの?」
私のその言葉に、嘉は眉間にシワを寄せた。
嘉は勘もいい。
聞いてはきても、何か考えることはあるだろう。
「侑希ちゃんの言う通り。
ちょっと考えたよ。
ねぇ、栗栖侑希って名前は……
偽名?」
私は嘉にむかってニッコリ笑って頷いた。