月光御伽
「なんの用じゃねぇよ。」
「何様のつもりだよ。」
「目障りなんだよ、お前。」
葉月の取り巻き達が
次々に私に罵倒を浴びせる。
男子はそれを見て笑ってる。
葉月も楽しそうだ。
なんだ、それだけのために
私をわざわざ捕まえたわけ?
『あんた達、暇なのね。』
私の一言に笑っていた葉月が
近付いてきて私の腹を
思いっきり蹴りつけた。
さすがにこれは痛い。
思わず咳き込んだ。
それを見て笑う奴等。外道だ。
ただ一人、蹴りを入れた葉月は
ひどく冷たい顔で
私を鋭く睨み付けていた。
私も怯まずに睨み返す。
「あんたなんなの」
それまで声を出さなかった葉月が
いきなり話しだした。
『こっちの台詞だから。』
パシンと今度は葉月の平手が
私の顔に降ってきた。
「あんた匠の何なのよ!!」
あー、これだから女は。
『たぶん友達。あんた匠が好きなんだ。』
「うるさい!!なんであんたなんかが匠の隣に居るのよ!!」
葉月の勢いの凄さに私以外の奴等は
みんなフリーズしてしまってる。
葉月はそれに気付かない。
恋は盲目。本当に恐ろしい。
「あんたなんか匠と釣り合わない。私が匠を好きになったの。匠は私のものなんだから!!」
どうゆう育ち方したら
こんな風になるのか。
『誰と一緒に居るのかなんて、匠の自由よ。それに匠はものじゃない。匠は匠の自由を持ってるの。あんたの好き勝手には出来ない。』