月光御伽


初めてまじまじと見た背中は
意外と大きく、でも寂しそうに見えた。

その大きい背中がだんだん小さくなり
視界から消えてドアの閉まる音がした時
私の瞳から頬に筋が走った。

少しぼやけた視界は
紅い夕日でいっぱいだった。
自分の"それ"とよく似た紅。



私はその景色を目に焼き付けたまま
暫くそこから動けなかった。



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