月光御伽
「おー、その馬鹿校門の奴等か。」
「もっ、森君っ」
彼は蒼白い顔が更に蒼くなり
ますます小さく
その存在を消そうとしていた。
『匠、この子威嚇しても仕方ないでしょ。やめろ。』
「別にしてねーよ。」
気弱な彼にはお礼を伝え
この空気の重い教室から逃がしてあげた。
お礼を言ったとき、彼は少し
驚いた様な顔をしたけど
そそくさと教室を出ていった。
「裏門から帰んぞ。」
『嫌よ。遠回りじゃない。水戸黄門始まっちゃう。』
「おい、朝妃!待てよ!!」
私は匠の言うことを聞かず
校門に向かった。
Y校生よりも私のほうが
馬鹿だったのかもしれない。