月光御伽


「ちっ、悪いっ。」


それからはよく覚えてない
優しい匠のことだから
きっとすごく慌てたと思う。
私の怯えた様子と
その理由が原因で。



きっとさっきの喧嘩で
匠も殴られたんだろうか
口の端に滲んでいた紅。




私の、大嫌いな
血の紅色─。




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