月光御伽
壱巻



私に母親はいない。
父親もいない。
私が十一の時に交通事故に遭い
私と保険金を遺して死んでしまった。
祖母や祖父もとっくに亡くなっている。
親戚は存在するのかも解らない。



友達はいない。と言うかいらない。
他人と言うものは自分と異なる者を
何の迷いも無く蔑む。
そんな奴等のためにかける時間なんか無駄なだけ。
たった一人の"例外"はいるけれど
私にはその例外だけで充分だ。



< 4 / 40 >

この作品をシェア

pagetop