「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

ガタガタと体が震える。両手で自分の体を抱きしめても震えが止まらないよ。

「沙織…しっかりして!沙織!!」

茜があたしの体を抱きしめた。けど…「イヤッ!!触れないで!!」

相手は茜だと分かってるのに…

違う…その手じゃない…。

あたしはその手を振り払った…。


戸惑いと悲しみの色に染まる茜の瞳…。

茜を傷つけてしまった。

茜は悪くない…だけど今あたしが求めてるのはその手じゃない…。

謝らなきゃって思ってるのに言葉が出ない。


ガタガタと一向に震えが止まらない体。

心が凍えてしまうほど寒くて痛いよ…。
誰か助けて…!!
誰か…あのぬくもりがほしいよ…誰かあたしをギュッと抱きしめてあたためて…!!

目をギュッと瞑って暗闇に落ちていくのを感じていた時だった。

「たすけて…たすけて…」

無意識に口走っていた体を


「大丈夫…俺が付いてるから…大丈夫!!」

力強く誰かが抱きしめた。

その手のぬくもり…あたしが求めていた力強くてあったかいぬくもり…。




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