「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

「ここ、素敵な場所ですね?なにか大切な思い出とかあるんですか?」


窓側の席で、器用にフォークでパスタを巻いて食べる早咲さんに聞いた。


「えっ…?」



一瞬、顔が強張ったように見えたけど、すぐに「そんなのないよ」と仕事中に見せる爽やかな笑顔に戻った。




「おしいな…。あと少しで本当の早咲さんを知ることができたと思ったのにな…」



目の前のグラタンをフォークですくって口に運んだ。


熱でとろけたチーズの濃厚な味が口の中に広がっていく。


「美味しいですね」と微笑むと「そうだね」と彼も微笑んだ。


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