「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー
ゆっくりと静かな時間が流れている。
海の近くの高台にあるレストラン。ふと窓に視線を移すと、港の光がキラキラと輝いている。
こんなに素敵な場所だもの。きっと彼女か誰かと来たに決まってるよね?
だけど、さっきは何もないって言ってたし…。
早咲さんにはいま、彼女…いないのかな?
いたら、あたしと食事なんてしないよね?
聞いて…いいかな?
気になる…。
「あの…早咲さん」
「なに?」
「早咲さんには、彼女…いないんですか?」
一瞬…大きく揺れた彼の瞳…。
手に持っていた珈琲カップを静かに置いて「いないよ」と呟くと悲しげに微笑んだ。
いま思えば…あたしはただ、そのガラスの瞳の奥に潜む心の影を共有したかっただけかもしれない。
ただの傷の舐めあいの関係でも1人より…2人でいた方がいい。
その方が互いの傷が早くなおせるかもしれないって…
ただ…そう思っていただけだったのかもしれない…。