「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー
彼女の涙
【沙織side】
「どんな罰でも受けるよ…」
静かな部屋に早咲さんの懺悔の言葉がポツリと響いた。
「罰…かぁ…じゃあ…1つだけ…いいですか?」
あたしの言葉に頷く早咲さん。その瞳は全ての罪を受け入れたように見えた。
「あたしがあなたに与える罰は…
忘れてください」
「えっ…?忘れる?」
「はい。忘れてください。昨日の出来事も、今日の出来事も…全部忘れてください」
「田崎さん?」
「あたし。忘れますから。というより…忘れました」
「えっ…?」と困惑と戸惑いの表情の早咲さんに、あたしはニコリと微笑んだ。
「あたし…何も覚えてないんです。あたしの記憶の中では、早咲さんと食事をした。それで終わってるんです。だから…忘れてください」
もう…このことで誰かが悲しむのを見たくない。
もう…このことで…苦しみたくないんです。だから…
「忘れて。茜も…赤坂さんも…忘れてください」
そう言って頭を下げた。