「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー
キミの存在
【沙織side】
「お疲れぇーー!!」
慌ただしかった年末年始があっという間に過ぎ去った平日の夜
店から程近くにある居酒屋の奥の大広間の座敷に店長の元気な声が響いた。
それを合図にみんなの声とグラスが重なり合う音と、ゴクリと飲み込んだ生ビールのアルコールが疲れた体に染み渡る。
「みんな、よく頑張ってくれたぁー。みんなのお陰で年末年始の予算もいったし。今日はドンドン飲んで楽しもう!!」
きょうは衣料品売り場の新年会。
既に大ジョッキー2杯目を飲み干そうとしている店長の上機嫌な笑い声に
「店長、機嫌いいねぇー」
茜が頬をほんのり赤く染めながら耳打ちしてきた。
あたしは「だね」と微笑んで飲み慣れないビールを口に含んで飲み込むと喉の奥に残る苦味に思わず顔を歪ませた。