「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー
「なにって。そんなの決まってるじゃない」
ウフと右手で口元を隠し、あたしの耳元で「あ・し・た・のデートのことよ」と囁いた茜。
「か、からかわないでよ…茜…」
頬を赤く染めながら言うと「だって。初デートなんでしょう?」と再び耳元で囁かれた。
そう、明日は赤坂さんとの初デートの日。
赤坂さんとの休みが合わなくて、ずっとデートできてなかったあたし達。
「うっ…。そうだけど…」
ようやく訪れた初デートの嬉しさと期待が入り混じって、口ごもるあたしを茜は容赦なくからかいまくる。
「沙織…顔、赤いよ。可愛すぎる」
「うるさいなぁ。仕事しようよ。仕事」
そう言って落とした伝票を拾おうとしたら
見慣れた男らしく骨太の長い指が、落ちていた伝票を拾うと「はい」と、あたしの目の前に差し出した。
その人の顔を見た瞬間、仕事中なのに高鳴る鼓動。
「赤坂さん…」
優しく微笑む彼に、見惚れてしまうあたしがいた。