「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

「あたしね。もう、和利から逃げないことに決めたの」



そう茜から聞いたのは、早咲さんが一週間程の長い休みから復帰してきた日の前日のこと。


髪を切り、決意を秘めた真っ直ぐな瞳で

「あんな男だけど…あたしには必要な人なの」



ごめんねと目に大粒の涙をたくさん溜めてそう言った茜に


あたしは何も言えなくて、ただ、頷くことしかできなかった。


あたしは、もう、過去のことで苦しみたくない。


茜も、早咲さんも…苦しんで欲しくない。


だからって、あたしが2人に何か出来るわけじゃない。


「和利とは友達から始めることにしたの。はじめから、やり直して、ちゃんと向き合う」

そう言って屈託のない笑顔で微笑む茜に、あたしは、見守ることしかできないんだよね…?



< 252 / 372 >

この作品をシェア

pagetop