「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

【誠side】


それは一瞬の出来事だった。仕事が終わり休憩室で缶コーヒーを飲んでいたら斉藤さんがやって来て


普通に「お疲れ様」と言って休憩室を後にしようとしたら、突然名前を呼ばれて抱きつかれた。



「好きなんです…」



抱きつかれたまま言われた言葉。斉藤さんからまさかの告白に驚いたが


俺には沙織がいる。


だから「ごめん」そう言って斉藤さんから離れようとしたら、目の前に瞳に涙を溜めた沙織がいて…。


俺に背を向けて走り出した沙織をすぐに追いかけようとした。


そんな俺を「行かないでください」としがみつく斉藤さん。


「ごめん。俺、行かなきゃ」



「どうして?別にいいじゃないですか。あたし、赤坂さんが好きなんです。ずっと憧れてたんです。

それに、どうして田崎さんを追いかけようとするんですか?別にいいじゃないですか?行かないでください!」


なおもギュッとしがみつく斉藤さんの体をバッと離した。


「ごめん。俺は君の気持ちに応えられない。それに田崎さんを放っておくことなんてできない。田崎さんは、彼女は…俺の大切な人だから…」


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