「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

「嬉しい。ありがとう」


首筋にキスをするとヒャッとこそばゆそうに身を捩る彼女。


「食べたいな。そのチョコ」


「あっ…うん。はい」


テーブルの上の小箱を手に取り、俺の手元に「はい」と持ってくる沙織。


「ありがとう」

沙織から離れてそれを受け取り丁寧にリボンを外して包装紙を剥がして、現れた白い小箱の蓋を開けると、小さなハート型のチョコが5つ入っていた。



そのうちの1つを摘んで口の中に運ぶと甘さを控えたビターなチョコの味が口の中に広がっていく。


「どう?」


心配そうに見つめる瞳。


「美味しいよ」


「よかった」


嬉しそうに微笑む彼女。


「沙織も食べてみる?」


「えっ?」


箱の中からもう1つチョコを摘んで口の中に運んだ。そして…


「おいで…」


沙織の手を取り抱き寄せて彼女の艶やかな唇にキスをした。


口の中で溶けるチョコの味。もっと甘くしてあげるよ。


これからもずっと甘い時間を君にあげる。



< 269 / 372 >

この作品をシェア

pagetop