「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー
【和利side】
「そう…なんだ…」とポツリと呟いて、俺の右手から手を離した茜。
同時にあったかいぬくもりを全て失った気がしてとっさに手を伸ばしたが、その手はぬくもりを掴むことなく空気を悲しく切った。
遠くに見えるのは小さくなっていく茜の後ろ姿。
床には無数の涙の跡。
胸がズキズキと痛む。泣かせるつもりはなかった…。
ただ…言う勇気がなかっただけなんだ…。
大切な言葉を、言う勇気がなかっただけ…。
「茜!!」
人の視線を気にすることなく、気づいたら茜を追いかけ
「待てって!!茜!!」
悲しげに震えているその体を、ここがまだ職場だという事を忘れて抱きしめていた。