「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

悲しみが心全体に広がり、唇をはなすと、彼女の瞳が涙で濡れていた。



「沙織…?」



なんで…?なんで…泣くんだよ…?



沙織を抱きしめた手の力を緩めると同時に去っていくぬくもり。



夜風が俺と沙織の間を通り過ぎ



「ごめんなさい…」



そう言い残した彼女は、俺に背を向けて俺の元を去っていった。



これは何かの間違いだ…。



認められない…。



受け入れられない…。



こんな現実…受け入れることなんてできない…。



頬に伝う涙に驚き拭うと、指に風に舞う桜の花びらが付いていた。



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