「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

翌日、あたしはお医者様から無理をしないようにとだけ言われて病院を退院した。



久しぶりに見上げた空はどこまでも澄み渡る綺麗な春空で


どこから来たのかー…風に舞った桜の花びらが目の前でクルリと踊っているように思えた。



「きっと大丈夫」



そう小さく自分と、お腹の赤ちゃんに告げて一歩ずつ前に進んだあたしのバックの中には辞職願の文字が記された封筒が入っている。



もう、決めたから。


これ以上、誠さんと同じ職場で働けない。


これからのことは、ゆっくり決めていけばいい。




だからー…今だけはー…


「うっ…ヒック…ヒック…うっ…あぁ-…」



今だけはー…泣かせて…。今だけはー…。



誠さん…。できることなら、あなたのそばにー…ずっと……あなたのそばにー…いたかったよ-ーー……。



風花が舞う朝、彼を思う涙は彼に届く術を知らず静かに風に舞ってどこかに消えた。


冷たいコンクリートに幾つもの悲しみの跡を残してー…。



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