「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

“なぜ?”“どうして?”自分の心に何度問いただしても答えはなにも見つからなかった。



沙織との距離は日に日に遠ざかり、答えをなにも見つけることができないまま4月の最終週を迎えていた。




「ふうぅ…疲れたー…」


年老いたおじさんみたいな言葉を吐きながら仕事終わりの一服を喫煙室で味わう、この瞬間こそが今では最高のリフレッシュの時間になっていた。



「なんだかー…惨めだなー…」



自嘲の笑いを浮かべ煙草を吸っていると



「おっ、お疲れさん」



店長が喫煙室に入って来ると元気か?と尋ねた。


その言葉に「元気です」と応えてみるものの、それが嘘だと顔に出ていたようで


「ふっ…赤坂は嘘が下手だな」


フッと笑うと、そんなお前みたいな正直者の社員がいるから店が上手く回っていくんだと店長なりの励ましの言葉に小さく頭を下げた。




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