「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

そんなつい最近の出来事が、ずっと昔に感じられるよ…。


苦笑いして煙草の火を灰皿でもみ消して店長に「お先に失礼します」と頭を下げて喫煙室をあとにした。


駐車場に向かい車のドアを開けて運転席に乗り込み、エンジンをかけた。



前かがみになりハンドルに突っ伏して瞼を閉じた。


瞼の裏に浮かぶのは沙織の恥ずかしそうに笑う笑顔や、俺の瞳を見つめる汚れのない真っ直ぐな綺麗な瞳。



そう沙織はいつも、俺に気持ちを伝えている時は、真っ直ぐに俺の瞳を見つめていた。



うん…?まてよ…。あの時…病室で宮本さんが自分の彼氏だと言った時、沙織は一度も俺の目を見なかった。


ほんの一度も…見なかったー…。


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